英語を学習している皆さん、「自動詞」と「他動詞」は聞いたことがありますね。
それでは、英語の文章を読む・書くといった作業をするとき、動詞が自動詞なのか他動詞なのか意識していますか?
動詞は動詞だろうけど、何が違うのかはっきりと理解していない人もいるのではないでしょうか?
英語を学習する理由は、人それぞれです。
学生で大学や将来の準備のためにする人、社会人で外国に興味がある・キャリアアップのためにする人などなど。
目標に到達するために遠回りを避けるには、英文法が重要です。
そのなかでも、中学校で学ぶ英文法は特にしっかりと理解することをおすすめします。
自動詞・他動詞についてもなんとなくしかイメージがない場合、英語学習で混乱が起こる原因にもなってしまいます。
そこで今回は、「自動詞」と「他動詞」。
英語学習の遠回りを避けるべく、丁寧に解説します。ぜひ、ゆっくり読み進んでください。
2種類ある「一般動詞」
daily英語通信でも取り上げている通り、動詞は英語で「verb」と言い、様々な状態・動作を表す言葉です。
英文は動詞が無くては成り立たないほどであり、その種類も多いのが特徴とも言えるでしょう。
動詞には、
・be動詞
・一般動詞
という2種類があります。
今回の記事で解説するのは、「一般動詞」のほうだということをまず抑えてください。
この一般動詞が、さらに「自動詞」と「他動詞」に区別されるのです。
一般動詞「自動詞」と「他動詞」の違いは?
一般動詞は、「自動詞」と「他動詞」と区別されますが、この2つの動詞は何が違うのでしょう。
わざわざ区別されているには理由があります。
その理由を理解することで、英語の学習に良い効果があります。
ここで、「自動詞」と「他動詞」の違いを一言で表してみましょう。
自動詞は、目的語を必要としない動詞。
他動詞は、目的語を必要とする動詞。
さて、目的語(O=Object)という言葉がでてきました。
目的語のあるなしで、自動詞か他動詞か違ってきます。
ここで、自動詞か他動詞からいったん離れ、目的語についてさらりと確認作業をしましょう。
⭐︎ちょっとブレイク−目的語とは?⭐︎
目的語とは、英文を作るうえで必要な要素5つのうちのひとつです。
5つの要素とは、主語・動詞・補語・修飾語、そして目的語となります。
目的語になれるのは「名詞」と「代名詞」です。
目的語は、動詞が表す動作の対象になります。日本語で訳した場合、「~を」や「~が」にあたる言葉となります。
「英語の5文型」と呼ばれ、中学の英文法でもでてきますが、少し苦手意識を持つ人がいるかもしれませんね。
こういうときは、実際に英文でみた方が分かりやすかったりします。
イメージをするために、さっそく例文でみてみましょう。
My sister asked a question.
姉は質問をしました。
この例文の場合の目的語はどの単語でしょう?
目的語は「名詞」か「代名詞」、「~を」か「~が」に当たるものというポイントを思い出してくださいね。
My sister(主語) asked (動詞)a question(目的語).
ということで、a questionが目的語です。
目的語a questionは、動詞askの動作の対象になっています。
「聞いた」→「何を?」→「質問を」といった感じですね。
目的語の説明が長くなりましたが、ここで例文で使われた動詞「ask」に注目しましょう。
askは、「たずねる・頼む」という意味で、中学2年で習う動詞です。
askが、自動詞なのか他動詞なのかもうお分りでしょうか?
ここで、自動詞か他動詞かを見極めるときに忘れてはならないルール、もう一度確かめます。
自動詞は、目的語を必要としない動詞。
他動詞は、目的語を必要とする動詞。
目的語のa questionを持つ(必要とする)ので、askは他動詞ということになります。
仮に、a questionを省いて「My sister asked.」という文章にしてみましょう。
「姉はたずねました」となりますが、何を?ということになり、文章が完結していません。
さて、ここまでは自動詞と他動詞を”目的語のあるなし”という見極めポイントから説明しました。
それぞれの動詞を大きく区別する方法が分かったところで、自動詞・他動詞をさらに詳しく解説していきます。

自動詞とは?
上述した通り、自動詞は目的語を必要としない一般動詞です。
ですので、主語と自動詞で文章が成立します。
自動詞にはどんなものがあるのか、中学で学ぶものからいくつかピックアップしてみましょう。
buy
call
clean
cook
eat
explain
get
look
run
sit
walk
次に、ふたつほど例文でみてみましょう。
I run.
私は走ります。
You walk.
あなたは歩きます。
このふたつの文章は、主語と自動詞だけで成立しています。
成立してはいますが、これだけの文章はそれほど目にしません。
そこで、前置詞や副詞が登場するのです。
自動詞に続く、前置詞や副詞
自動詞は、他動詞と違って目的語は必要ありません。
しかし、状況を詳しく説明するためには、前置詞や副詞を続けて使います。
前出の例文でみてみましょう。
I run very fast.
私はとても速く走ります。
副詞very fastが自動詞runのあとに続いています。
You walk to the station.
あなたは駅へ歩きます。
方向をイメージする前置詞to(~へ)が自動詞runのあとに続いています。
自動詞はこのように前置詞や副詞を一緒に使うことで、伝える相手に詳しい情報を与えることができるのです。
You walk to the station.をみてみると、the stationという名詞(目的語)があることにお気づきですか?
自動詞には目的語は必要なかったはずでは?
そこで、前置詞が登場なのです。
She looked at her boyfriend.
彼女はボーイフレンドを見ました。
at(前置詞)のあとに、her boyfriend(代名詞)が続きます。
My father got on a train this morning.
父は今朝、電車に乗りました。
on(前置詞)のあとに、a train(名詞)が続きます。
⭐︎⭐︎自動詞をまとめてみよう⭐︎⭐︎
・自動詞は目的語を必要としない動詞
・主語+自動詞で意味が成立する
・目的語をもってくる場合は、必ず前置詞が必要
・自動詞の後に副詞が続いても文章が成立する
自動詞について、頭のなかが整理されたでしょうか?
それでは、次は他動詞です!
他動詞とは?
自動詞と違って、他動詞は目的語を必要とします。
中学で勉強する多くの動詞は、他動詞です。
ask以外の他動詞もいくつかプックアップしてみましょう。
answer
back
break
buy
call
enjoy
leave
pay
return
take
他動詞も例文でみてみます。
He buys some flowers.
彼は花を買います。
I paid you the money for the book.
あなたに本のお金を払いました。
どちらの例文も目的語、some flowers(名詞)、you(代名詞)が続いていますね。
ここで注目したいポイントがあります。
他動詞には前置詞が必要ないというところです。
(正)I paid you the money for the book.
(誤)I paid to you the money for the book.
他動詞には「~を」や「~に」という意味が含まれています。ですので、I paid to youというのは間違いなのです。
前置詞は多くの人にとって考えさせられる品詞ですね。
しかし、動詞が自動詞か他動詞か区別できると、自然と前置詞の要不要も判断できるのです!
⭐︎⭐︎他動詞をまとめてみよう⭐︎⭐︎
・他動詞は、目的語を必要とする動詞
・他動詞には前置詞は不要
・他動詞には「~を」や「~に」という意味が含まれている
ここまで、自動詞と他動詞の区別の仕方、そしてそのポイントを解説してきました。
だいぶ、整理されたのではないでしょうか?
自動詞と他動詞を区別するときの一番のコツ
動詞の種類は多く、それが自動詞なのか他動詞なのかを覚えていくことは至難の技です。
そこで、これまで解説した区別の仕方を利用することをおすすめします。
動詞のあとに、前置詞や副詞がきていれば「自動詞」
動詞のあとに、名詞または代名詞といった目的語がきていれば「他動詞」
このような見極め方であれば、できそうな感じがしてきませんか?
しかし、もう一点、説明したいポイントがあります。
ここで頭のなかが少し混乱してしまうかもしれないのですが、ぜひお読みください。
自動詞にも他動詞にもなる多くの動詞
ここまで自動詞・他動詞の区別の仕方を解説してきましたが、多くの動詞はどちらの用法をももっていることにも注目しなければなりません。むしろ、どちらかの意味しかないという動詞のほうが少ないくらいなのです。
同じ動詞で自動詞・他動詞でどう違った意味になってくるのか、実際にみてみましょう。
辞書では自動詞を「自動」、他動詞を「他動」と表記しています。
call
自動 叫ぶ・大声で呼ぶ・鳴く・電話する・立ち寄る
他動 ~を叫ぶ・~を呼び出す・~に電話する・~召集する
buy
自動 買う・買い物をする
他動 ~を買う・~におごる・~を買収する
上述した「他動詞には「~を」や「~に」という意味が含まれている」ということも、ここで確認してください。
自動詞と他動詞を区別しないと訳が違ってくる
callやbuyにも多少見られますが、自動詞と他動詞で全然違った意味をもつ動詞があります。
例えば、runです。
I run.
私は走ります。
この英文のrunは、目的語を持たずに成立しているので「自動詞」ですね。
前置詞を使い、
I run in the park.
私は公園で走ります。
という文章にすることもできます。
runを他動詞として使う場合はどうでしょう。
I run my business.
私は事業を経営しています。
他動詞としても、~を走る・~を追うなど自動詞と似た意味もありますが、「経営・運営する」という意味は他動詞の場合です。
このように、自動詞か他動詞かでその意味が違ってくるため、区別して使う必要があるのです。
このポイントを抑えることは、TOEICや英検などの試験対策にも重要です。
自動詞・他動詞を区別できるように多くの英文に触れよう
英文に無くてはならない動詞は、覚えなければならないその数の多さに圧倒されることもあるでしょう。
これには、リーディングの数をこなしていくことが大切です。そして、分からない英文がでてきたら、動詞のあとに前置詞・副詞が入っているのか、目的語である名詞や代名詞がきているのかちょっとみてみましょう。そのうえで、まず動詞を辞書で調べてみてください。そこで、自動なのか他動なのかを判断していくクセをつけることをおすすめします。
自動詞・他動詞は少し厄介ですが、リーディング力をあげ、単語力をもあげていくために頑張りましょう!